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文沢 元雄; 亀田 晃之*; 中川 隆志*; Wu, W.*; 吉川 榮和*
Nuclear Technology, 141(1), p.78 - 87, 2003/01
被引用回数:5 パーセンタイル:36.81(Nuclear Science & Technology)原子炉運転制御盤の操作性の改善を図るため、運転員の行動様式に着目した、客観的データを検討することは重要である。原子炉運転員のヒューマンエラーを左右する主要なファクター(客観的データ)の1つにワークロードがある。ワークロードは運転員の身体的,精神的な負担の指標であり、本研究ではワークロードとして、移動距離,タスク実行時間,記憶量などを扱う。ワークロードの低減を図るには、原子炉制御盤(Human Machine Interfaces: HMI)を操作する運転員のワークロードを定量的並びに正確に評価する必要がある。本研究では、複数運転員(運転クルー)が操作する原子炉プラントのHMI設計を対象に、反復設計を効率的に実施するための計算機システム,SEAMAID(Simulation-based Evaluation and Analysis support system for MAn-machine Interface Design)を開発した。すなわち、HMI設計をワークロードという指標により評価するためのシステム開発を行った。併せて、CRT(記録計の監視可能なモニター)を旧来の制御盤に導入することで、運転員のワークロード(移動距離,視点移動距離など)がどの程度低減できる制御盤設計が可能であるかを検討した。
杉野 和輝; 岩井 武彦*; 庄野 彰
JNC TN9400 2000-098, 182 Pages, 2000/07
ロシア解体核処分支援を目的として、核燃料サイクル開発機構(以下、サイクル機構)とロシアの物理エネルギー研究所(IPPE)との共同研究が開始され、その一環として、サイクル機構において、高速炉臨界実験装置BFS-2を用いて構成された体系であるBFS-62の実験解析を実施している。本報告書は、BFS-62シリーズにおいて最初に構築された体系であるブランケット付き濃縮U02燃料炉心BFS-62-1体系の実験解析に関するものである。解析においてはJUPITER実験解析等で用いられてきた高速炉の標準解析手法が採用されているが、3次元解析を行うための十分な情報が得られていないために2次元RZ体系計算による解析を中心に行い、3次元解析については予備評価に留めた。また、核設計基本データベースとしてのBFS実験解析データの有効利用の観点から、炉定数調整計算により、JUPITER臨界実験解析との整合性評価を行った。実験解析の結果、臨界性、反応率比については実験値との良い一致が得られた。他方、反応率分布については、不純物水素含有の有無による2種類のNaの配置を正確に取り扱う必要があり、これを忠実にモデル化できる3次元解析が不可欠であることが明らかとなった。また、ブランケット領域、遮蔽体領域における反応率にも改善の余地が大いにあることが分かった。制御棒価値については、その形状をより正確に取り扱うことの可能な3次元解析モデルの適用により、解析結果の改善が見られた。更に、Naボイド反応度については、測定された反応度が非常に小さいことに加え、解析の不確かさが非常に大きいことから、当面はその情報を炉定数調整に用いるべきではないと判断される。JUPITER実験の解析結果とBFS-62-1体系実験の解析結果を用いることにより炉定数調整計算を行った。その結果、実験値からのずれの大きいBFS-62-1体系反応率分布解析結果の使用は炉定数調整に悪影響を及ぼすものの、それを除いた臨界性、反応率比、制御棒価値解析結果のみを用いた場合は、妥当な調整結果が得られることが分かった。このように、BFS-62-1実験解析とJUPITER実験解析との間には整合性の見られることが分かり、BFS-62-1実験解析データの活用はJUPITER実験では不足していたU-235の情報を補完する観点から非常に有効であるとの見通しが得られた
高下 浩文; 樋口 真史*; 富樫 真仁*; 林 達也*
JNC TN8410 2000-011, 185 Pages, 2000/05
FBR炉心解析技術について、関連部署への周知及び技術の伝承のために、設計評価Gr.において用いられている核設計手法についてまとめた。特に当Gr.で実施してきた127本バンドル「もんじゅ」高度化炉心の概念設計に対して用いられている核設計手法を中心に示した。示した項目は実効断面積の作成、2次元燃焼計算、3次元拡散計算、反応度係数計算、制御棒価値計算における計算方法である。本報告書で示される手法は、現時点での当Gr.の標準的な核設計手法である。しかし、今後、評価精度の向上を目指して、計算コードの高度化・整備、「もんじゅ」性能試験データ等を用いた設計評価における補正・不確かさの低減、核データ更新等を実施していく予定であり、それに伴い、核設計手法も見直される可能性があるが、情報の共有化の観点から現時点での当Gr.の標準的な核設計手法をまとめたこととした。
飯沢 克幸; 鳥居 建男
JNC TN4400 99-002, 192 Pages, 1999/03
高速増殖炉におけるトリチウム挙動解析評価手法と負荷低減対策の開発整備を目的として、「もんじゅ」出力上昇試験データを用いて高速炉トリチウム挙動解析コード"TTT"の検証と定格運転長期予測評価を実施した。この際、既に長期運転経過により飽和挙動に達している「常陽」及びPHENIX解析結果との比較検討も実施した。"TTT"コードはR.KUMARのトリチウム・水素挙動モデルに基づき作成され、当初「もんじゅ」設計段階の評価に用いられて来たが、その後「常陽」MK-IIデータに基づき改良整備し、更に今回「もんじゅ」性能試験データによる検証精度の向上を図り、実力ベースにおける長期予測評価と低減対策検討への適用に到っている。本研究において得られた結果と結論は以下のとおりである。(1)「常陽」、PHENIX、「もんじゅ」性能試験におけるトリチウム濃度実測分布への解析コード炉心放出率適合値の検討により、制御棒からの放出寄与の優位性が推測された。(2)「もんじゅ」性能試験時のナトリウムと水・蒸気中トリチウム濃度分布に対して、解析コード検証精度C/E=1.1が得られた。(3)カバーガス中トリチウム濃度実測分布を再現するうえでトリチウム/水素同位体存在比均一化モデルの妥当性が確認された。(4)「もんじゅ」2次系ナトリウム中トリチウム濃度は1次系の約1/50で、
斎藤 裕明*; 入谷 佳一*
JNC TJ8440 99-003, 156 Pages, 1999/03
負荷追従運転時の燃料棒照射挙動を評価するため、設計コード(許認可コード)の改良・整備を実施する。本設計コード「FEMAXI-ATR」燃料サイクル開発機構(旧動力炉・核燃料開発事業団)が、日本原子力研究所によって開発された水炉用UO2燃料挙動解析コード「FEMAXI」をベースに、MOX燃料も取り扱えるよう開発したものであり、コードの基本構造は公開コード「FEMAXI」とほぼ同様である。今回の改良・整備にあたっては、負荷追従試験データを用い、負荷追従運転時の出力変化による燃料棒内圧及び燃料棒伸びの挙動を模擬できるように解析モデルの改良を実施した。また、「FEMAXI-ATR」コードを用い、追従運転時における燃料棒照射挙動の詳細について評価・検討を実施した。
毛利 智聡; 大谷 暢夫
PNC TN9410 98-056, 72 Pages, 1998/06
臨界工学試験室では、核燃料施設の臨界安全管理に有効な未臨界度モニターの開発を進めている。これまで、重水臨界実験装置(DCA)を測定対象として、ファインマン-法による重水減速体系の未臨界度測定研究が実施され、核燃料施設で問題となる低い実効増倍率体系の未臨界度を検知できることが確認されている。ここでは、核燃料施設において一般的な軽水減速体系に対しても、未臨界度の検知が可能であることを確認するため、DCAの未臨界度測定試験炉心にウラン燃料およびMOX燃料を装荷した軽水減速体系を対象として未臨界度測定実験を実施した。測定の結果、中性子計数率の低い軽水減速体系においても、実効増倍率が0.6230.870の範囲で、未臨界度を示す値の検出が可能であることが確認された。また、実効増倍率の0.050.10程度の差異を検知できることも確認された。輸送計算コードTWODANTおよびモンテカルロ計算コードKENO V.aを用いて試験体系の値を計算し測定データと比較した。値から評価した実効増倍率の計算値と測定値の差は13%以下であり、未臨界度モニターとしては十分な精度で値が求まることが確認された。ファインマン-法が、低い実効増倍率の軽水減速体系でも未臨界度測定手法として有効であることが明らかとなった。
武井 早憲; 谷本 育律*; 大沢 哲*; 細山 謙二*; 江本 隆; 榎本 収志*; 紙谷 拓哉*
PNC TN9410 98-053, 43 Pages, 1998/04
事業団では、大電流電子線形加速器の利用技術の一環として、単色ガンマ線源、自由電子レーザー、大強度陽電子源などを検討している。本報告書は、大強度陽電子線源を開発するために、陽電子ビームを効率良く収束する装置への超伝導コイルの適応性を評価した。超伝導コイルを用いた場合の陽電子強度を常伝導コイルの場合と比較したところ、強度が2倍以上になることがわかった。さらに、ソレノイドコイルとして超伝導コイルの特性を調べるため、小型コイルを製作し、定格電流まで励磁する試験を実施した。中心軸上の最大磁場強度を測定した結果、設計値である5.6Tを達成した。従って、陽電子ビームを収束する装置に超伝導コイルを用いた場合、収束コイルとして機能することを確認した。
not registered
PNC TJ1612 98-001, 77 Pages, 1998/03
HAZOPは定性的な安全評価手法の1つであり、その有用性は広く知られている。この方法は様々な分野の専門家により構成されるグループが、ブレーンストーミング形式により組織的に解析を進める手法であり、解析における見落としが少なく、確実な解析結果が期待できる。フォールトツリー解析(FTA)は定性的、定量的に安全性を評価できる手法であり、航空、宇宙産業から原子炉の信頼性、安全工学などに適用されている。しかし、FTAで困難な問題は、いかにしてフォールトツリー(FT)を生成するかという点である。HAZOP、FTAともに安全評価手法としての有用性は認められているが、安全評価には多くの時間と労力が必要であり、計算機によるHAZOP支援支援システムやFT自動生成システムが提案されている。昨年度研究報告書では、解析対象プロセスをメインプロセス部(配管系を中心とした部位)と周辺部(制御回路部、補助装置)に分類し、モデル化することで変数の分類を行った。これによりHAZOPによる解析を配管から電気、空気配管などを含む周辺装置部まで拡張した。この解析結果とHAZOP支援システム(三菱総合研究所が開発したもの)による解析を組み合わせることにより全体の解析を行った。また、HAZOPの解析結果をFTに変換することにより、定性的な解析を定量的な解析へと応用可能とした。本研究では、ユニットの入出力変数の状態に着目して対象プロセスをモデル化し、プラントを構成する各要素の入出力変数の状態と内部事象及び外部事象の関係をデシジョンテーブルにより表現する。このデシジョンテーブルにより整理された情報を基に、HAZOP及びFT生成を行う手法を提案する。デシジョンテーブルの情報を知識ベースとして計算機に格納し、HAZOP及びFT生成を行う解析システムを構築した。この解析システムを高レベル廃液貯槽冷却システム等の安全評価に適用し、有用性を示す。
木曽原 直之; 山口 彰
PNC TN9410 98-028, 33 Pages, 1997/12
高速炉安全解析の一環として、ナトリウム燃焼時エアロゾルの主要機器等へ移行量、空気中湿分との反応量および燃焼熱のエアロゾル粒子を介したふく射伝熱による周囲構造物への影響を評価する必要がある。このために、従来からエアロゾルの挙動解析にはABC-INTG(Aerosol Behavior in Containment-INTeGrated Version)が用いられてきた。しかし、ABC-INTGは1セルモデルによる均一な雰囲気における挙動を計算するコードであるため、より詳細な室内のエアロゾル濃度分布を把握することを目的として、多次元熱流動解析コードAQUAにABC-INTGで用いられているエアロゾル計算モデルを組み込むこととした。AQUAは多セルモデルによりガスの熱流動を計算し、エアロゾル粒子の空間的な濃度分布を詳細に評価できる。一方、ABC-INTGは1セル内におけるエアロゾル粒子の発生、凝集、壁や床への付着を計算し、エアロゾル粒径分布と濃度を求めることができる。つまり、この両者の長所を組み合わせることによって、エアロゾル特有の挙動計算を行いつつ流体の流れを解析しエアロゾルの室内での移動を把握しようとするものである。ABC-INTGとAQUAはそれぞれ別途開発されたコードであるため、そのモデル化の違いのためのインターフェイスプログラムが重要になる。組み込みに際して、オリジナルのABC-INTGからの各計算モデルのサブルーチンを抽出・修正・追加し、インターフェイスプログラムを介してAQUAとデータ授受を行いながら過渡計算を行えるように整備した。本報告書ではエアロゾルモデルとその組み込み手法について述べる。また、試計算として単純な体系の解析を実施し、物理的に妥当な結果を得ることもできた。これにより、AQUAコードにおいてエアロゾルを取り扱うことが可能となり、ナトリウム燃焼時のガスの熱流動とエアロゾルの挙動を連携させた詳細な解析を実施できる見通しを得ることができた。
羽様 平
PNC TN9410 97-088, 139 Pages, 1997/10
重水臨界実験装置(DCA)の未臨界度測定試験体系の臨界特性(重水臨界水位、水位反応度、安全棒(制御棒)反応度価値、中性子束分布)を測定し、Sn法及びモンテカルロ法による計算結果と比較評価した。未臨界度測定試験体系は体系内にボイド領域を含むため、新型転換炉(ATR)の炉心核特性評価に用いられてきた拡散コードを適用することができない。ここではボイド領域を含む体系に適用できる輸送計算コードによる計算を行い、計算精度等の適用性を評価した。輸送コードとしては、2次元SN法によるTWODANTコードと、従来原子炉の計算にはあまり適用されていない多群モンテカルロ計算コードKENOを使用した。ATR等の原子炉炉心と比較して複雑な形状の未臨界度測定試験体系の炉心核特性を評価した結果、重水臨界水位等の臨界特性については、多群モンテカルロコードKENOの評価精度が0.5%k/k以内であることが確認され、中性子束の炉心内空間分布については、2次元SNコードTWODANTによって正しく評価できることが明らかとなった。特にモンテカルロコードは、炉心構造の違いによる微少な反応度変化を正確に再現しており、複雑な原子炉炉心の評価に極めて有効であることが確認された。
福田 敬則*; 大嶋 巌*; 大田 裕之; 村山 志郎*; 中村 武則*; 伊藤 健司
PNC TJ2164 97-004, 38 Pages, 1997/10
None
山口 隆司
PNC TN1410 97-027, 12 Pages, 1997/08
格子計算は、炉心出力分布計算、反応度特性計算等の炉心核特性計算に必要な単位燃料格子平均の核定数を計算するものである。主な核定数を以下に示す。(a)無限増倍率(k)(b)中性子移動面積(M2)(c)拡散計算用断面積(D、a、f、r)(d)局所出力分布(e)同位元素組成格子計算コードは、英国で開発された「WIMS-D」コードを基に、動力炉・核燃料開発事業団大洗工学センターの重水臨界実験装置(以下DCAという。)における実験解析及びATR原型炉「ふげん」の炉心管理を通じ、解析精度の向上を目的として、Honeckモデルによる温度依存性を考慮した重水散乱断面積の追加等の改良・整備を行なった「WIMS-ATR」コードを使用する。また、制御棒に隣接する格子の核定数作成には、制御棒による中性子吸収量の計算が必要である。この計算は、制御棒効果計算コード「LOIEL BLUE」を使用する。このコードは、制御棒を囲むスーパーセル体系において、制御棒による中性子吸収割合に対応する指標である制御棒中性子吸収面積(「制御棒に流入する中性子数」と「格子内中性子減速密度」の比)を計算する。計算体系は、制御棒を囲む4つの格子であり、1次元3群拡散計算により体系内の中性子バランスを求め、これを基に制御棒中性子吸収面積を計算する。この計算の際に必要となる制御棒表面における中性子束の外挿距離は「THERMOS」コード及び「DTF」コードを用いて、また、隣接格子の格子定数は「WIMS-ATR」コードを用いて各々計算する。
丸山 忠司; 宇都 学; 田中 康介; 小野瀬 庄二; 浅賀 健男
PNC TN9410 97-077, 177 Pages, 1997/07
「常陽」MK-II 制御棒の照射後試験は1983年に開始され、初装荷制御棒から5次取り替え制御棒まで、合計16体、ピンにして約110本の照射後試験が行なわれた。このうち5体の制御棒で、合計15本の制御棒吸収ピンにクラックの発生していることが確認された。本報告は、これら吸収ピンのクラック発生原因を究明するために行われた、非破壊試験、破壊試験、および制御棒挙動解析コードCORALをもちいた解析の結果について述べたものである。 吸収ピンのクラック発生は燃焼度約39x1026cap/m3までは見られず、一方、クラック発生が見られたピンはいずれも燃焼度が43x1026cap/m3以上でかつB4Cペレットと被覆管の初期ギャップが0.44mm以上のものであった。吸収ピンのクラック発生位置は最下端のB4Cペレット付近に集中しており、吸収ピン断面金相観察の結果では、B4Cペレットは細かく割れ、被覆管とのギャップは一部閉塞していた。被覆管の変形は異方的で、オーバリテイが認められ、クラックは被覆管の短径側で多く発生する傾向が見られた。被覆管の破断面は典型的な粒界破壊をしていることが特徴である。被覆管のHe分析では、被覆管内表面にHeの蓄積が認められていたが、被覆管全体のHe濃度は特に高い結果にはなっていない。TEM観察でもHeバブルは明瞭に観察されなかった。 クラック発生原因としては、B4Cペレットのリロケーションにより照射初期に被覆管とのギャップが閉じてしまい、ACMIが発生したことによるものと考えられる。CORALコードによる挙動解析の結果では、ACMIによる発生する被覆管のひずみは、照射クリープで吸収することができず、燃焼が進むとともに塑性ひずみが増大し、被覆管にクラックが発生したものと考える。
宮川 俊一; 高津戸 裕司; 曾我 知則
PNC TN9410 97-068, 113 Pages, 1997/07
「常陽」MKII制御棒は、当初の設計から約20年経過した現在までに、44体の制御棒が主として寿命延長を目的とした種々の改良を経て製作され、このうち34体がその使用を終え、そのうちの16体の照射後試験(以下PIE)がほぼ完了している。これらの使用実績とPIE結果に基づく評価から、次のような知見が得られた。(1)「常陽」MK-I制御棒は密封型であったため、制御棒の寿命はBの10乗の(n,)反応によって制御棒要素内に蓄積するHeガスの圧力のために短く制限されていた。このためMKII炉心用の制御棒では、Heガスの制御棒要素外排出が可能で簡素な構造のダイビングベル方式のベント型を採用し、その有効性と信頼性を確認した。(2)MKII炉心では6本の制御棒全てにスクラム機能と出力抑制機能を持たせた設計としたため、地震時のスクラム機能確保と流力振動による炉出力振動防止の両立が必要になった。その解決策として、制御棒の下部に流力振動防止用の突起状の流力振動防止機構を設け、さらに突起の段数や形状を改良し、それらの両立性を確認した。(3)スクラム緩衝機構である制御棒下端部のダッシュラムは、原子炉運転中はほぼ炉心中心面に位置して高速中性子の照射量が非常に大きく、ダッシュラムのスエリングによる下部案内管の同緩衝機構の受け側との干渉が問題となった。これを解決するため、ダッシュラムの構造を中空として20%冷間加工を施す等の耐スエリング対策を確立し、長期使用条件下におけるスクラム緩衝機構での干渉の課題を克服した。(4)中性子吸収体(B4Cペレット)と被覆管との機械的相互作用(Absorber-Cladding-Mechanical-Interaction:以下ACMIと称す)は、制御棒の寿命制限因子として現在も世界的に最も注目されているテーマである。「常陽」制御棒の使用実績とPIEの評価によって、ACMIはB4Cペレット破片の再配置(リロケーション)により加速されること、それによるACMIの開始燃焼度は54510の26乗cap/m3乗と大きくばらつくことなどのメカニズムの詳細を把握し、より合理的な設計基準を明らかにすることができた。この設計基準に従い、従来型の制御棒の経験的な燃焼度管理法の妥当性、リロケーション防止の簡易対策(シュラウド管つきHeボンド型制御棒)の効果、さらにACMI吸収のため
山口 隆司
PNC TN1410 97-026, 16 Pages, 1997/07
3次元核熱水力結合炉心計算コード「LAYMON-2A」は、ATRの出力分布計算及び制御棒反応度価値計算に用いられる。本コードは、臨界ほう酸濃度のサーチ機能等、炉心運用計画に必要な各種機能を持っており、炉心燃焼計算等の各種シミュレーション計算を行うことができる。なお、本コードの核定数は、炉心内の燃焼度分布、冷却材ボイド率分布、ほう酸濃度等を考慮するため、これらをパラメータとしたフィッティング式の形で入力される。さらに、「LAYMON-2A」コードにキセノン・サマリウムの動特性方程式を組み込んだ炉心3次元キセノン動特性解析コード「LAYMON-2C」は、炉心の出力レベル、出力分布変化に伴うキセノン・サマリウム濃度の時間変化を考慮でき、炉心3次元のキセノンによる出力の空間振動特性及び領域出力制御特性解析に用いられる。
小綿 泰樹; 大坪 章
PNC TN9410 97-064, 42 Pages, 1997/06
加速器と未臨界高速炉とを組み合わせたハイブリッド炉(加速器ハイブリッド高速炉)の特徴(出力制御性、硬中性子スペクトル等)を生かし、これまで主として超ウラン元素(TRU)を消滅させる性能に着目して検討を行ってきた。使用する加速器の形式として、単位出力当りの中性子発生数の観点から、加速ビームが電子又は陽子の場合を比較した。その結果、ターゲット(タングステン)原子核とのスポレーション反応を利用する陽子加速器が優れており、当然TRU消滅特性も有利であることが分かった。本来、高速炉は転換比が高いので加速器のような外部中性子源を組み合わせれば、制御棒や高富化プルトニウム燃料を使用しなくても出力密度を高くして長期運転が可能であると考えられる。すなわち、核分裂性プルトニウムを自給できる(燃料自給)特性をもっている。従って、本報告書では、陽子加速器の高い中性子発生能力に基づく原子炉制御への適用性を利用し、陽子加速器ハイブリッド高速炉の炉心特性を2D-BURNコードを用いて概略的に検討した。出力密度300w/ccでターゲット部を無視した円筒炉心を想定し、炉心の寸法と全炉心体積に占める燃料の体積比をパラメータとして行った燃焼計算から燃料自給の可能性を検討した。この結果、炉心高さと半径がそれぞれ100cmの炉心では、初期炉心にのみ中富化度(約10wt%)のウラン又はプルトニウム燃料を装荷すれば、以後の燃焼サイクルには天然ウランのみを供給するだけで長期運転が可能になる見通しが得られた。なお、より詳細な解析は次年度に行う予定である。
Hunter
PNC TN9410 97-057, 106 Pages, 1997/05
本研究の目的は、高速炉におけるPu同位体組成比(Puベクター)変化の炉心特性に与える影響を調べ、そしてそれに対応する方策を検討し、最終的には、同一炉心において色々なPuベクターの燃料を燃焼できる最適炉心を構築することにある。本研究では、PWRでのMOX燃料照射によって得られたPuベクターを持つPu燃料を燃焼するために最適化された600MWeクラス高速炉炉心をベースとした。このレファレンスPuベクターに加えて、2つの極端なPuベクター(高フィッサイルPu:解体核Pu、劣化Pu:多重リサイクルPu)の場合について解析評価した。Puベクターの変化に対して、燃料体積比の調整(幾つかの燃料ピンを希釈ピンで置き換えたり、燃料ピン径を変更する方策)により対応できることが分かった。希釈材として、ZrHを使用した場合、炉心性能が大幅に改善されることが分かった。ただ、劣化Puにたいしては、燃料体積比を大幅に増加させることに加えて、制御棒ワースのマージンを確保するために、制御棒本数の増加が必要となることが分かった。今回の検討により、燃料ピン径の増大や制御棒本数の増加により、ラッパー管サイズを変更せずに、1つの炉心で幅広いPuベクターを持つ燃料を燃焼できる炉心概念を構築することができた。これにより、高速炉のPu燃焼における柔軟性を示すことができた。
石川 信行; 鈴木 勝男
JAERI-Research 97-038, 17 Pages, 1997/05
線形制御理論に基づいて設計された制御器を非線形性をもつ原子炉出力の制御に適用した場合の制御特性劣化を補償する簡便な方法として、ゲインスケーリング法を提案する。この方法は原子炉核動特性の非線形性が入力反応度と中性子密度の積の項のみで生じる簡単な構造であることに着目し、制御器で生成された制御入力を出力レベルに応じてスケーリングして、制御特性の向上を図るものである。本報告書では、Hフィードバック制御系に本手法を適用した場合の制御特性を時間領域および周波数領域で評価しその有効性を示す。
not registered
PNC TJ1612 97-001, 69 Pages, 1997/03
HAZOPは、プロセスの安全性と通転の問題を明らかにする手法である。プロセスの各部における設計基準からのズレに着目し、その原因を明らかにする。さらにプロセスに与える影響について評価し、それらを検出し、また発生を防止する手段について検討される。近年、計算機によりHAZOPを支援するためのシステムがいくつか開発されている。Perttu Heinoら(1995)よる知識ベースを用いたHAZOPシステム、Venkatasubramanianら(1995)によるHAZOP解析システムのための有向グラフモデル、そして、著者ら(1995、1996)は、連続プロセス、回分プロセスを対象として、PrologによるHAZOPシステムを提案した。これらのシステムにより、これまでの人の手による解析と比較し、短時間で解析結果を得ることが可能である。動力炉・核燃料開発事業団の委託により(株)三菱総合研究所が開発したHAZOP支援システムは配管系の解析に適しているが、制御回路などの周辺装置に対しては解析が困難である。本稿では制御回路などの周辺装置に対するHAZOP解析法を提案する。周辺装置部の入出力変数の関係を記述するためのモデルを提案する。このモデルはシステム工学の入出力関係を基準としている。異常伝播モデルをこの変数関係を基に求める。周辺装置のHAZOPを提案するモデルに基づき実施し、配管系に対してはHAZOP支援システムにより解析する。両方の解析結果を組み合わせて対象とするシステムのHAZOP、FTを完成する。
武田 宏*; 澤井 定*; 石上 ひとし*
PNC TJ1409 97-013, 47 Pages, 1997/03
1開発成果・設計・運転経験の反映開発成果、設計・運転経験など、プロジェクトで得られた全ての知見は、主として下記に反映される。1)現在のプラント運転の安全性・信頼性の向上2)現在のプラントの改良設計3)次のプラントの設計2"設計/研究開発/プラント特性データベース"構築の考え方"設計/研究開発/プラント特性データベース"は、上記の目的に活用できるように構築する。(1)設計と研究開発を融合したデータベースプロジェクトの研究開発は、設計技術根拠、即ち、建設方針、設計基準、許容設計限界値、設計の検証などの確立が主体であることを考慮して研究開発と設計の各データベースを融合したデータベースを構築する。(2)プラント特性の組み入れプラント設計は安全裕度を入れて行うが、プラントはその固有の実力性能、即ち、安全率なしで稼働する。従って、下記の発展が効果的にできるよう、プラント特性(とくに初期特性)をデータベースに組み入れた。1)設計と実力性能を比較評価して、適切な安全裕度を設定2)定期検査データとカップルした劣化度評価3)燃料の燃焼・組成変化に伴う特性変化の解明4)実際のプラント特性に基づく技術と設計の高度化3"設計/研究開発/プラント特性データベース"の構成以上の評価を基に、本データベースを下記の構成にした。1)設計基本事項2)設計関連技術情報(設計技術根拠)3)プラント特性